2011/06/16(木)付 日刊建設工業新聞

この人に聞く


「中小・中堅の立場で活性化 -請負型から提案型へ変革-」

代表取締役社長 西山勉  西山電気(東京都港区)の西山勉社長が東京電業協会(東電協)の副会長に就任した。井上健新会長(日本電設工業社長)を中小・中堅企業の立場でサポートすることを自らの役割と認識し、「中小・中堅が夢を持てるようになれば、業界も活性化する」と訴える。東日本大震災に伴う電力不足で節電対策が課題となる中、「顧客が何を望んでいるかを把握し、要望に的確に応えられるような提案をしていく」と語り、請負型から提案型への変革が生き残りの鍵を握ると力説する。


 −厳しい業界環境の中で、東電協の副会長に就任した。

 「退会する会員もあり、存在意義が問われているが、井上会長の言うように、こういう時だからこそ、協会が存在感を発揮していくことが必要だ。会員の多くを占める中小・中堅企業が夢を持ち、元気を出すことが業界の活性化につながる。私の役割は、中小・中堅の立場で井上会長らに実情を伝え、協会運営に反映できるようにすることだ」

 −東日本大震災が事業に与える影響は。

 「当社に関して言えば、JV構成員として受注した、港区発注の田町駅東口北地区公共施設整備事業の着工時期が、震災の影響で1年延期となった。メーカの材料供給が遅れ、顧客の設備更新計画に間に合うかどうか心配な面もある。一方で、節電需要から省エネルギー対策の引き合いも増えている。三菱電機の代理店である当社にも、太陽光発電の相談が持ち込まれてくる。省エネ・節電対策がビジネスモデルとして確立している段階にはないが、震災を契機に顧客の意識が確実に変わってきたことを感じる」

 −顧客の意識の変化をどう取り込む。

 「節電に対する顧客の要求は、自家発電であったり、太陽光発電や風力発電であったりとさまざまだが、顧客第一主義の視点で提案できるようにしたい。従来の請負型ではなく、トータルなソリューションを提供できるかが、生き残りの鍵となるだろう」

 −現在の業況は。

 「11年3月期は、大型物件の計上で、前期低調だった売上高が増加し108億円程度を確保できたが、工事の採算確保に苦労し、利益額は落ち込んだ。受注状況は正直厳しい。工事を手掛けた物件に社員が常駐し、細かい仕事を手掛けるようなことにも取り組んでいるが、顧客が設備投資を手控える傾向にある。12年3月期は繰越工事もあって売上が横ばいで推移する見込みだが、受注の減少は来期以降、ボディーブローのように効いてくるだろう」

 −製品販売を手掛けているのは他社にはない特徴だ。

 「工事だけでは業績にバラツキが出てくるということで、先々代が製品販売を手掛ける商事部門を立ち上げたのが始まりだ。今はFA(ファクトリーオートメーション)関連製品などを多く扱っている。エンドユーザとじかに取引をする機会が多い商事部門の営業担当者が、工事の仕事を取ってくるなど相乗効果も生まれている」

 −7年後に創業100周年を迎える。

 「優良企業として、内容の良い経営体質をつくっていくのが当社の方針だ。こうしたことを言い続けてきたことが、社内にもだいぶ浸透した。100周年で何をするかは今後考えるが、堅実経営で従業員や株主が満足する会社としていくを目指している」

*注: この記事は日刊建設工業新聞様から正式に転載許可をいただいて掲載しています。

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